緊急地震速報のしくみ

レイ先生は小学校で緊急地震速報のしくみを授業されていると聞きました。僕も行ってみたいなあ。

では次回は大地くんに授業をしていただきましょう。しくみの説明はできる? 小学生を想定してくださいね。

えーと、ポイントは、地震の時に強い揺れを起こすS波を知らせる速報であることと、地震はすでに起きているので、一刻も早く備える必要があること、情報が間に合わずに揺れが来てしまうこともあること。

まずはS波の説明からして頂きましょうか。

地震が起きた時、「あれ?地震?」なんて思うカタカタした揺れがP波。そうこうしているうちに来る大きな揺れがS波です。つまり、S波はP波よりも遅れて伝わって来ますが、揺れはP波よりも大きい。

だから地震による被害はS波によることが多いのです。家具が倒れてきたり、家屋が倒壊したり。

緊急地震速報は、このS波が来るのを可能な限り早く知らせるシステムです。まず最初に来るP波を検知して、震源の位置と規模を見積もった上で、キミのところへS波が行くぞ、と予測して伝えるしくみが日本全国の規模で実施されている。この間わずか数秒。2007年10月1日から気象庁が提供を開始しました。

そうね。一刻を争う技術です。ところで、まずP波を検知して、ということは?

地震はすでに起きている、ということ。地震発生の予測ではなく、地震動の予測であるということです。(地震と地震動の違いについては謎解き地震学No.02『地震と地震動、マグニチュードと震度』へ。)震源近くではP波とS波との到達時刻にほとんど差がないので、速報は間に合わないことがあります。

震源に近いほど強い揺れになるのですが、残念ながら、震源近くでは情報が間に合わないことがあるのです。

だからこそ、日頃からの備えが重要なんですね。

そのとおりです。それに情報が間に合う地域でも猶予時間は長くて十数秒から数十秒、揺れが強いところでは数秒あるかどうか、というところです。うん、大地先生の誕生ですね。P波とS波やしくみを説明したイラストもお貸しするので小学生にぜひ授業をして来てください。