「火山灰って名前だと,何かの燃えかすのような印象をうけない?」 風邪声でまるでニューハーフみたいなレイ先生から声をかけられた.じっくり考えたことはなかったけど,確かにそんなイメージでいた.
「今回噴出したのは,立派なマグマよ.マグマが冷えて固まって,粉々になったものよ.」 なんかいかにも鋭利で危険そうな響きじゃないか.
「そうです.鋭利で,危険です.」 現地に入って調査しているとき,眼鏡にかかった火山灰をうっかり布でふいちゃうと,眼鏡に傷がつくらしい.
「火山灰がいかにもトゲトゲしている感じがわかる拡大写真を特任研究員の鈴木さんにもらったので,観察してみてちょうだい.どの部分が結晶で,どこがトゲトゲになっているか,そしてなぜトゲトゲになっているのか,考察してみて.」