平賀准教授,Nature誌に掲載

21日に,記者会見を初めて見させてもらった.平賀先生の研究が,Nature誌に掲載されたんだ.すごい!

平賀さん曰く,「地球の内部で,岩石がぷにゅーと伸びている,ということです」らしい.その,融けてもいないのにぷにゅーっと伸びる性質の事を「超塑性」という.金属なんかでは想像しやすい.それが地球を構成する岩石においても起きているだろう,ということは,数十年前から言われていた.僕だってなんとなく想像できる.マントルの対流とは別に,ところどころ,岩石はぷにゅーっと伸びることだってあるだろうと.

ところが,それを世界で初めて,実証したのは,平賀さん(地震研)と吉田さん(物質・材料研究機構)によるこの研究だ.例えば,沈み込んだ海洋プレート,スラブ.地震断層の延長部分.そういったところでは,岩石が水あめのように伸びることでプレートを曲げたり,断層で地震が起きるような環境を作ったりしているらしい.そして自ら伸びをやめて,超塑性を自滅させているんだそうだ.

成功の秘訣は,実験サンプルの粒を細かくすること.なんとこれは日本のお家芸だそうだ.だって物材機構は世界でもとても評価されている研究機関だ(それを仕分けることの方が,国際社会での日本の恥をさらしている,と僕は思う).そもそもセラミクスでの超塑性を世界で最初に発見したのは日本人だ.今から数十年前のことらしい.超塑性というのは粒が細かくないと起きない現象だから,日本はこの研究やこれを用いた製造分野で世界をリードしている.

レイ先生に感想を聞いてみた.

「分野を横断すれば,まだまだ地球科学の謎は解けるはずだ,と平賀さんはおっしゃっていたわね.まさにそのとおりだと感じます.分野を横断するには,ものすごい勉強量が必要です.専門性が深入りしている今の時代大変なことだけど,でもだからこそ重要なことです.分野横断プロジェクトなんて無理に企画しなくても,平賀さんみたいな人は,放っておいても横断しちゃうのよ.そういう人がのびのびと横断して,またひとつ新しい発見を世界に先駆けて見せてくれる,そういう環境を作っていきたいわ.」

最後の方は独り言と化していた.僕は,科学が見せてくれる新しい世界観に,感動する.1ミリの数百分の一の世界から,地球の大きな動きを語れるなんて,やっぱりすごい.

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