アスペリティと地震の繰り返し

震源を●や★で表現するのは,コンピュータによる自動処理でいち早くわかる情報が点だからなのですね。研究者が地震波形をきちんと解析して初めて、どちら方向に延びる断層面の、どの部分がどのくらいずれ動いた地震だったのかがわかる。

うんうん。ところで断層面の図を描いていると、陸で起きる「内陸地殻内地震」ばかりがイメージされないかい。海のプレートが陸のプレートの下に沈みこんでいくときに起きる「プレート境界地震」の断層面はどこになるだろう?

海洋プレートと大陸プレートの境界面そのものです。大きな圧力でがっちりとくっついている境界面には、大陸プレート自身の沈み込みによって、押し合う力が働いています。だから逆断層型の地震が多く起こると勉強しました。

そう,例外もあるが圧倒的に逆断層型が多い。がっちりくっつくことを「固着」という。ついでにもうひとつ質問をしよう。海洋プレートはつねに動いている。にもかかわらず、がっちりくっついているところ「固着域」がいきなり離れる動き、つまり地震が起きる。「つねに動いているのにがっちりくっついている」ということを、アスペリティを使って説明してごらん?

うーん。確かに、プレート境界面がべったり固着していて、あるときいっせいにはがれたら超巨大な地震になってしまう。そうか! つねにスルスルと動いているところと、固着しているところがあって、周りがスルスル動いていくものだから、固着しているところにはひずみがたまっていく。そこがある時急にはがれて地震を起こす。この固着域がプレート境界地震のアスペリティでしょうか。

正解だ。地震を過去にさかのぼって調べることで、同じアスペリティが繰り返し地震を起こしていることや、それぞれのアスペリティの大きさもだいたい決まっていることがわかってきた。プレート境界地震については、地震を起こす場所についても、面積についても、だいぶ理解が進んできたのだよ。

断層面での岩盤の破壊によって地震波が発生する。地震波を調べることで、どういう破壊だったのか、断層面でのすべり運動を細かく焼き直すことができる。それだけじゃない、プレート境界地震については、地震を起こす領域「アスペリティ」の場所や大きさ、同じアスペリティで地震が繰り返されていることがわかってきたんだ。僕はいよいよ「波形解析」に挑戦したくなってきた。