地球内部の構造

レイ先生もやっぱり宝石がお好きですか。

え? 宝石?

8月の誕生石がなんとか、と。

そうね、8月はいいわね。なんといってもかんらん石、マントルを構成する鉱物だもの。マントルは宝石箱だわ、きっと。行って見てみたいわねぇ。美しい緑色から濃いブルーへと変化してゆく上部マントル、やがて茶褐色になる下部マントル。そこから先は鉄の世界。岩石と鉄の境界では何が見えるのかしら。

レイ先生の世界観についていくべく、僕は地球内部の勉強をすることにした。地球の内部構造はさっきレイ先生が言っていたとおりだ。地表を覆うのは地殻といって、薄い岩石の殻だ。半径が6400kmある地球を卵に例えると、ちょうど卵の殻くらいの薄さになる。僕の身長に例えると、指の厚み程もないくらいだ。この地殻の下にはマントルがある。レイ先生が緑やブルーや茶褐色の宝石箱と言っていた世界がここで、地球の半径の半分くらい、約2900kmを占める。これまた卵の白身と同じくらいの割合だ。そして卵の黄身にあたる部分を核という。中心から3500kmに及ぶ核は、これまでの岩石の世界から一転して、鉄でできている。

僕たちの暮らす地表を見れば、地球が岩石で構成されているというのはわかりますが、地球の中心は鉄でできていたんですね。

鉄は岩石よりも重いので下へ下へと沈んで行って、核を構成しました。核も2つにわけることができて、中心に近い側を内核、その外側を外核といいます。違いはなんでしょう?

外核は液体、内核は固体の鉄でできています。外核が液体であるということは地震波の解析からわかりました。前回『S波が来る前に!緊急地震速報の活用』(謎解き地震学No.05)で学んだS波が重要な役割を果たしたんですね。S波は液体の中では伝わらない性質を持っているので、地球内部の深くに液体の層があることがわかった。災害だけじゃないんだなぁ、地震学って。

そう。地震波は地球内部のトラベラー。耳をすましてそこからいろいろな情報を得るのが地震学者の仕事であり、醍醐味でもあるわね。