まずはマグニチュードの大きな地震の発生が条件ですよね。大きな断層面を持つ地震でないと長い周期の波は発生しません。(断層面については、謎解き地震学No.7『断層面とアスペリティ』を参照。)
ええ。①震源、②伝播、③地盤、のそれぞれに条件があります。震源に関しては、被害の出るような大きくて浅い地震であることが条件です。それから③の地盤については、平野や盆地などの堆積層が厚い場所。
②の伝播経路というのは?
長周期のエネルギーを保ったまま地震波を伝えるような経路が存在することも条件であることが、新たに分かってきました。
これらの条件が揃うところに固有周期の長い構造物があると、平野や盆地内での長周期の地震動と共振して長く揺れが続き、被害が出るわけですね。浅くて大きな地震、平野や盆地、高層ビル、日本の都市のほとんどは条件の①と③が該当してしまいます。例えば海溝沿いの巨大地震で今後の発生確率が高い東海地震や東南海地震・南海地震などが起きた場合はどうなのでしょう。あとは②の伝播経路が揃ってしまうと、首都圏を始めとして日本は大変なことになります。
残念ながら、その伝播経路となるものがあります。「付加体」です。
付加体?
海洋プレートの上面には海底の柔らかい堆積物がつもっています。プレートが沈み込むとき、それらはいわば、日本列島にこすりつけられていきます。この部分を付加体と言って、フィリピン海プレートに沿って関東平野まで続いています。この付加体が長周期の波を効率的に伝える伝播経路となってしまうわけです。
そんな...首都圏では、一体どれほどの被害がでるのでしょうか。