P波の押し引き

でも待てよ? 地震が起きて僕たちが情報を得るのは、震源が明瞭に地表に現れていない限り、観測された地震波からですよね。地震波のデータだけからこのビーチボールが得られるのですか?

いいところに気づきましたね。P波の最初の部分を使うことで、震源メカニズムのビーチボールを得ることができるのです。P波は押し引きの波でしたね。

はい。地震波の進行方向と平行に振動するような波、つまり押したり引いたりしながら振動する波です。

各地の観測点には、P波が押し波から来る場合と、引き波から来る場合とがあります。

言われてみればそうだなあ。押される場合しか考えたことがありませんでしたが、確かに押しと引きがあるはずです。

では、ある観測点にP波の押しが到達したとします。これを地中へどんどん戻していって、震源までたどると、それは震源の半球が引かれるような力によって発生したことがわかります(図2)。

なるほど。P波の引きが到達したところについても同様に震源へ戻していくと、震源の半球が周囲から押されるような場になりますね。

そうですね。こうやってすべての観測点のP波の押し引きを半球上に戻していきます。すると、半球にかかる力の場がわかるのです。