震災への想い

2011年3月11日,超巨大地震と津波が東日本を襲いました.亡くなられた方々やご家族の無念を思うと胸が詰まり,地震の研究に携わる者として大きな責任を感じています.被害を受けられたみなさまに,謹んでお見舞い申し上げます.

私が高校1年生の時に阪神・淡路大震災が起きました.この惨状をなんとかしたいと思い,あの日以来地震の科学に携わる道を歩んできました.博士論文を手掛けていた2004年10月,新潟県中越地震が起きて再び多くの犠牲を目の当たりにしました.高校生のあの日から私が勉強してきたことは何だったのか,大きな失望感とともに地震学の道をやめようとも思いました.

そのころ目にした一つの新聞記事,本震を生き延びたのに余震で亡くなった少女の記事が,私を地震学に留めました.余震だって危険なんだ,地震学では当たり前の知見が社会に伝わっていない,最新の科学ではなくても今ある情報を伝えることで助かる命がある,そんな想いから広報アウトリーチ活動を職務のひとつとしてきました.今は,災害情報や防災教育を研究しています.

この大きな犠牲にあって,私にできることは何なのかを繰り返し問いかけ,今後に活かせることはすべて活かすことを誓って,発信してまいります.

2011年5月25日 大木聖子

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