情熱大陸のこと-地震の科学の限界

半年ほどの取材の間,ただでなくても国内外と移動が多い私に,予想外の事態も起きたりして,取材いただいた内容は盛りだくさんでした.制作いただいたものも,単に私の活動を追うだけではなく,地震の科学の限界や,すぐにできる防災対策,そして命の大切さが盛り込まれていて,ありがたかったです.

地震の科学の限界については,フィレンツェの学会で知り合ったニュージーランドの研究者と意気投合した様子が使われていました.地震という現象は今の科学では解明ができない「複雑系」であるということ,実験ができない上にめったに起きないのでデータがなかなか集まらないこと,だから起きた地震については詳しく説明できるが起きてないことについては非常にあいまいなことしか言えないこと.人々が期待する時間のスケールで予測するのは現段階では困難極まりないこと.

このシーンの音楽は,”Across the Universe”です.音響の小西香葉さんが選んでくださいました.ブログで紹介してくださっています.“Nothing’s gonna change my world”.素敵な音楽をありがとうございました.

宮城県からの修学旅行生を地震研で受け入れるシーンがこの後に続きました.ニュージーランドの研究者と話したまったく同じ内容を伝えるのに,私がものすごく苦労しているのが映像に出ていました.

東日本大震災でとても恐い思いをしたであろう中学生に,地震予知について,30年での確率ではなく,1年前という時間スケールでもなく,やっぱり2,3日前に情報を出してほしい,と言われ,答えているようすがあのシーンです.「地震の予知もがんばるからね」などと単に期待させるだけではなく,みんなが大人になる頃でもやっぱり予測はできないだろうこと,だけど命を守ることはできることを,私なりに一生懸命伝えました.

その後,この子たちからお手紙が届き,「地震予測の難しさを知って本当に驚きました.教えていただいたことをよく覚えておき,これから来る地震にも備えていきたいです.」と書いてくれていました.この先のみんなの人生にどんな地震が起ころうとも,絶対に生き抜いてね.私と会ってくれたのだから死なせません.

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