撮影期間中に,予想外の出来事が起こりました.私にとっては理不尽な話で,30代は苦しいことばかりと,まったく希望も未来も見いだせない日々でした.
絶望の中で,村木厚子さんの本を2冊,読みました.冤罪により逮捕・起訴されている渦中も毅然とした態度で会見に臨まれ,無罪が確定した時は,どうしてあのように強くいられたのかと心からの敬意を抱きました.
本の中には,「人生には理不尽なことはたまに起きるが,それは自分で選ぶことはできない.でも,自分の身に起きた理不尽を,自分の人生にどう取り込むかは自分次第だ」と書かれていました.それで,私が感じている程度の理不尽どころではない想いを,2万名近い犠牲者が,34万名以上の被災者が感じてらっしゃる,どんな人も,こんな想いを二度としなくて済むように,私は私にできることをやっていこう,と思うようになりました.前向きになったのはそれからのことです.
ひっこしのシーンも随分のん気で,我ながら笑ってしまいました.半月以内に広報室を出ていくようにと突然言い渡されたのですが,引っ越し先の部屋はひっこし前日の朝まで手配されませんでした.行き先がわからないまま,必要な什器の発注も,電話線をひくこともできないまま,段ボール詰めを行っているという状況だったのですが,結婚観を聞かれてのん気に答えていて笑っちゃいます.先日,私が子どもの頃から通っている行きつけの美容院で,「選択肢が広がってるんだか,狭まってるんだかわからない結婚観ね」とバッサリ言われました.