情熱大陸のこと-震動体験

震度7の揺れを体験しているシーンは,東京消防庁さんにご協力いただいて,池袋防災館で行いました.震動体験はどなたでも無料でできます(揺れのパターンや体勢については池袋防災館さんのご指導に従いましょう).地震の揺れがどんなものか経験したことのない方は,一度体験してみてください.

地震には大きくわけて,海で起きるタイプ(プレート境界地震)と陸で起きるタイプ(いわゆる直下型地震)との2種類があります.海で起きるタイプの方が長く揺れています.ちなみに,この揺れている長さが津波の大きさのおおざっぱな指標になります.強い揺れが1分以上つづいたら,津波が来るぞ,と思って高台に避難してください.もちろん1分より短くても来ることもありますし,1分以上なのに来ないこともありますが,激しい揺れに遭っているさなかはそんなことの真偽よりも,次のリスクを考えることです.私が沿岸にいて,1分以上も揺れていたら,津波警報を待たずに高台を目指します.

揺れている時間が長いほど,津波の高さも高くなると思ってください.東日本大震災では,おおむね3分間,揺れが続きました.「1分で津波」を思えば,3分はこれはたいへんな津波になります.命を守るためのこの目安を,震災前に人々に伝えて来られなかったことをとても後悔しています.こういう指標を考え出すことすら,思い浮かばなかったのです.この指標が日本人の常識になれば,津波避難行動も大きく変わってきて,犠牲者も減るでしょう.ぜひ覚えておいてください.繰り返しますが,1分より短かったら津波が来ない,というわけではありません.1分も続いたら「えらいこっちゃ!」と思って即避難してほしい,という目安です.

話がそれましたが,震動体験では海タイプの東日本大震災と関東大震災,直下型タイプの阪神淡路大震災と中越地震とを体験できます.映像には出ませんでしたが,キッチンに立っているというシチュエーションで体験をさせていただきました.これはもうとてもとても危険で,すぐさまキッチンの配置を考え直さねば,と思いました.まず,立っていると揺れの始まりを感知することができません.するともう,突然ものすごい揺れがやってきている,という状況になるのです.しかもキッチンです.火を使っていたり,油を使っていたりするかもしれませんし,冷蔵庫や電子レンジが置いてあります.強い揺れの中で,これらは凶器になるでしょう.

お母さんがキッチンにいるときに,テーブルにいる人が揺れに気づいたら,大きな声で「地震!」と声をかけてあげましょう.そしてお父さん・お母さんは,キッチンの配置をもう一度良く考えてみてください.すぐに家庭内のオープンスペースに出られるか,凶器は飛んで来ないか.家庭内のもっとも危険な場所キッチンの防災対策も進めましょう.

ちなみに,「地震,火を消せ!」は古い風習で,(そりゃ消せるなら消すに越したことはないけれど)今はとにかく「地震,身の安全確保!」です.今では火は勝手に消える仕組みになっているので,ひばちの時代の風習に固執する必要はありません.避難が必要になった場合は,ブレーカを切り,ガスの元栓を閉めてから家を出ましょう.

参考: 東京消防庁 『地震その時10のポイント 保存版

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