両親との食事のシーンについて書くのは恥ずかしいですが,あれも実は私の仕事に関係があります.私は2008年4月に広報アウトリーチ室に着任したのですが,その年は地震災害の多い年でした.5月には四川地震,6月には岩手・宮城内陸地震,7月には岩手県沿岸北部の地震,8月には霧島山の微噴火...,とにかくイベント(地球科学的な出来事を専門用語でこう呼びます)の多い年でした.
2008年6月14日は土曜日で,この日の晩に両親を初任給でディナーに誘っていました.ところが午前8時43分,東京でも震度3くらいの揺れがあり,ニュースのテロップを見るまでもなく,これは被害地震になるとすぐに判断しました.それで初任給ディナーは延期して大学に行き,その晩は報道対応などを続けて,自宅には帰りませんでした.
そのリベンジをしたのがあの日でした.今年の6月中旬,ちょうど4年越しで,同じお店を予約しました.情熱大陸さんの取材があると両親にあらかじめ説明したつもりでいたのですが,両親ともにそんなこと聞いてなかったと言い張っているので,やっぱり説明し忘れていたのでしょう.ごめーん.
父はいつもあんな感じで,父とのやりとりもいつもあんな感じですが,母はかなりネコをかぶっていたと思います.放送後に,同様の指摘が両親を知る人からどんどん上がってくるので,間違いないでしょう.本当の姿は,人にイタズラすることばっかり考えているような感じですが,私に最初に地球科学の本を与えてくれたのも,科学者の本を与えてくれたのも母です.
震災後に執筆した2冊の本の印税を全額,あしなが育英会を通して震災遺児に寄付しているのですが,その想いについては,NHK出版新書の『超巨大地震に迫る-日本列島で何が起きているのか』のあとがきに書かせていただきました.なにかの折にご高覧いただけたらと思います.